はやぶさ2 ミッション概要 はやぶさ2の目指すサイエンス

はやぶさ2のターゲットは(162173)RyuguというC型小惑星で、これは1999年5月10日にLincoln Near-Earth Asteroid Research (LINEAR)プログラムの中で発見されたものだ。現在発見されている小惑星のうち、C型に分類されるものは10%以下で、その中で実際にサンプルリターンが可能なRyuguは非常に貴重な天体である。

地球からの観測で分かることは限られているが、Ryuguが直径865+/-15m程度の小さな小惑星であること、そして比較的小さな熱慣性(外部の環境に応じて温度が変わりやすいということ)から、Itokawaと同じように、もともとはより大きな小惑星であったものが、破壊と再集積を経て出来上がったものでないかと考えられている。

 

はやぶさ2ミッションでは、リモートセンシング機器による観測、着陸機を用いた近接場観測、持ち帰ったサンプルの分析、を組み合わせることで、以下のサイエンスを行うことを目的としている。

1. Ryugu表面における物質の分布・積層の様子を解析し、初期太陽系での物質の混合、移動の様子を明らかにすること

2. 小惑星サンプルに含まれていると期待される、種々の有機物質と鉱物物質の解析と、それらの物質の小惑星上での分布から、小惑星の元となる微惑星での鉱物、水、有機物の相互作用を明らかにすること

3. 熱環境の変化や宇宙風化を考慮してRyuguの歴史を解析し、初期太陽系における物質の状態がどのように変化していったかを明らかにすること

4. Ryuguの衝突の履歴を解析し、初期太陽系での微惑星の破壊や再集積のプロセスを明らかにすること

 

[Ref1] Watanabe, S., Tsuda, Y., Yoshikawa, M. et al., Hayabusa2 Mission Overview, Space Sci Rev (2017) 208: 3. https://doi.org/10.1007/s11214-017-0377-1