はやぶさ2 ミッション概要 イントロ

2010年6月13日、小惑星探査機はやぶさは地球へと還り、S型小惑星(25143) Itokawaの微粒子をとらえたカプセルを送り届けました。はやぶさ小惑星サンプル採取を本来の予定通りには実行できていなかったものの、数多くの小惑星微粒子がカプセル内に収められていたのです。

はやぶさによる小惑星の観測、また送り届けられた微粒子により、地球近傍においてもっとも一般的なS型小惑星と、地球に届く隕石として一般的な普通コンドライト(ordinary chondrites)が非常に似通ったものであること、またItokawaはもともと直径20km以上あった小惑星が、破壊、再集積したことで、今のような瓦礫の積み重なったような形状となったこと、などが明らかになりました。さらに、微小クレーター形成の衝撃や微粒子の付着といった、小惑星表面の変化の様子が観察されたことは、採取された微粒子にみられる最も興味深い特徴です。

はやぶさミッションの成果と経験を受けて、C型小惑星の観測とサンプルリターンを行う次なるミッション、はやぶさ2が進められました。はやぶさ2の科学的目標は、原始太陽系星雲や小惑星の元となった天体を構成する物質の起源を明らかにすること、そして惑星形成がどのように行われていったかについて手掛かりを得ることです。これらの目標を達成するためには、はやぶさ2搭載のリモートセンシング機器による小惑星の俯瞰的な観測、着陸機を用いた局所的な観測、さらに小惑星サンプルを持ち帰ることよってのみ可能になるマイクロスケールの分析を組み合わせることが、必要不可欠なことなのです。

 

[Ref1] Watanabe, S., Tsuda, Y., Yoshikawa, M. et al., Hayabusa2 Mission Overview, Space Sci Rev (2017) 208: 3. https://doi.org/10.1007/s11214-017-0377-1