ドイツ滞在許可証の申請について

先日、ブレーメン大学構内にある外国人局で滞在許可の申請をしてきました。滞在許可申請はかれこれ5回目くらいになるので、今となっては慣れたもの。ただ、初めのころは、提出する書類はこれで大丈夫かとか、申請の際に何を聞かれるかとか、申請前にはあれこれやきもきしていました。今回は、そんな昔のことも少し思い出しながら、ドイツでの滞在許可申請がどんなものかについて紹介してみたいと思います。

 

滞在許可申請は、居住する街の外国人局で申請をするのですが、申請に向かう前にまずは、外国人局のホームページを見て見ましょう。申請に必要な書類が書いてあるはずです。ブレーメン大学外国人局の場合は以下のとおりです。

 

- gültiger Reisepass(有効なパスポート)


- Meldebescheinigung(申請書)

申請書は、当日に外国人局で記入することができます。記入内容は、基本的な個人情報なので、申請に必要な書類をそろえていれば、問題なく記入できるはずですが、心配な場合は外国人局ホームページに掲載されている用紙を印刷して、記入してから持って行ってもOKです。ちなみに、私が毎回、うっ、と詰まるのは、就業先の住所。契約書には書いてないし、なかなか覚えられないんです…


- Krankenversicherungsnachweis(健康保険証)

ドイツではいくつも健康保険会社が存在するのですが、いずれかの健康保険に加入すると、VersicherungskarteまたはGesundheitskarteというカードを受け取ります。申請時にはこれを持って行けばOKです。


- Immatrikulationsbescheinigung oder Zulassungsbescheid einer Hochschule(大学の学生証または入学許可証)
- Übersicht der bisher erbrachten Studienleistungen (bei Verlängerungen)(成績証明書、延長の場合)
- Anmeldebescheinigung zum Sprachkurs (nur bei Studienvorbereitung)(語学コース登録証明書、大学入学前の準備期間の場合)
- Arbeitsvertrag (bei wissenschaftlichen Mitarbeitern)(雇用契約書、専門職職員の場合)
- gesicherter Lebensunterhalt bei Studenten (zurzeit € 659,- im Monat)(収入・所得の証明)

ここで必要になる書類は、滞在の目的によって異なります。私の場合、大学関連の研究所に雇用されるという立場なので、雇用契約書が必要で、これが収入証明の役割も兼ねます。一方で、ドイツ語能力の証明や、学歴の証明などは要求されません。

 

- 1 aktuelles biometrietaugliches Passfoto(パスポート用証明写真)

 ドイツでも証明写真ボックスを見かけることはたまーにありますが、私は電気屋さん(SATURN)で撮りました。写真を撮ってくれるのは、単にカメラコーナーのおっさんなので、たいした写真は取れませんが、証明写真のルールにそって撮ってくれるので、その点は安心です。その場で4枚プリントしてくれて10EUR。

 

必要書類をそろえたら、申請に向かいます。私が申請に使っているのは、大学構内にある外国人局なので、利用できるのは学生か大学関係者のみ、というところなのですが、それでも毎日、利用者で行列ができます。朝9時の受付開始で、私が8時ごろ外国人局につくと、10人弱の人がすでに列を作っていました。おそらく一日に30人程度しか、対応してもらえないので、遅くとも受付開始前には並んでおく必要があります。一般向けの外国人局の場合、さらに混雑が予想されるので、できる限り早朝に申請に向かいましょう。

さて、申請の手続きは、必要な書類さえそろっていれば、質問攻めにされるようなことはなく、書類提出、指紋の採取と申請費用を支払いを済ませれば終了です。申請費用は州などによって異なるかもしれませんが、一例としてブレーメン大学外国人局での場合をまとめておきます。

100EUR:初回申請、申請する滞在期間1年以下
110EUR:初回申請、申請する滞在期間1年より長い
  65EUR:延長申請、申請する滞在期間3ヶ月以下
  80EUR:延長申請、申請する滞在期間3ヶ月より長い
  30EUR:パスポート更新に伴う再発行申請

 

ここまでで、申請手続きは一通り終了。約一ヶ月後に、発行された滞在許可書を取りに来るよう、外国人局からメールが来るので、それまで連絡を待ちましょう。

 

参考

https://www.bsu.uni-bremen.de/auslaenderamt%28neu%29.html

 

 

はやぶさ2 ミッション概要 はやぶさ2の目指すサイエンス

はやぶさ2のターゲットは(162173)RyuguというC型小惑星で、これは1999年5月10日にLincoln Near-Earth Asteroid Research (LINEAR)プログラムの中で発見されたものだ。現在発見されている小惑星のうち、C型に分類されるものは10%以下で、その中で実際にサンプルリターンが可能なRyuguは非常に貴重な天体である。

地球からの観測で分かることは限られているが、Ryuguが直径865+/-15m程度の小さな小惑星であること、そして比較的小さな熱慣性(外部の環境に応じて温度が変わりやすいということ)から、Itokawaと同じように、もともとはより大きな小惑星であったものが、破壊と再集積を経て出来上がったものでないかと考えられている。

 

はやぶさ2ミッションでは、リモートセンシング機器による観測、着陸機を用いた近接場観測、持ち帰ったサンプルの分析、を組み合わせることで、以下のサイエンスを行うことを目的としている。

1. Ryugu表面における物質の分布・積層の様子を解析し、初期太陽系での物質の混合、移動の様子を明らかにすること

2. 小惑星サンプルに含まれていると期待される、種々の有機物質と鉱物物質の解析と、それらの物質の小惑星上での分布から、小惑星の元となる微惑星での鉱物、水、有機物の相互作用を明らかにすること

3. 熱環境の変化や宇宙風化を考慮してRyuguの歴史を解析し、初期太陽系における物質の状態がどのように変化していったかを明らかにすること

4. Ryuguの衝突の履歴を解析し、初期太陽系での微惑星の破壊や再集積のプロセスを明らかにすること

 

[Ref1] Watanabe, S., Tsuda, Y., Yoshikawa, M. et al., Hayabusa2 Mission Overview, Space Sci Rev (2017) 208: 3. https://doi.org/10.1007/s11214-017-0377-1

はやぶさ2 ミッション概要 イントロ

2010年6月13日、小惑星探査機はやぶさは地球へと還り、S型小惑星(25143) Itokawaの微粒子をとらえたカプセルを送り届けました。はやぶさ小惑星サンプル採取を本来の予定通りには実行できていなかったものの、数多くの小惑星微粒子がカプセル内に収められていたのです。

はやぶさによる小惑星の観測、また送り届けられた微粒子により、地球近傍においてもっとも一般的なS型小惑星と、地球に届く隕石として一般的な普通コンドライト(ordinary chondrites)が非常に似通ったものであること、またItokawaはもともと直径20km以上あった小惑星が、破壊、再集積したことで、今のような瓦礫の積み重なったような形状となったこと、などが明らかになりました。さらに、微小クレーター形成の衝撃や微粒子の付着といった、小惑星表面の変化の様子が観察されたことは、採取された微粒子にみられる最も興味深い特徴です。

はやぶさミッションの成果と経験を受けて、C型小惑星の観測とサンプルリターンを行う次なるミッション、はやぶさ2が進められました。はやぶさ2の科学的目標は、原始太陽系星雲や小惑星の元となった天体を構成する物質の起源を明らかにすること、そして惑星形成がどのように行われていったかについて手掛かりを得ることです。これらの目標を達成するためには、はやぶさ2搭載のリモートセンシング機器による小惑星の俯瞰的な観測、着陸機を用いた局所的な観測、さらに小惑星サンプルを持ち帰ることよってのみ可能になるマイクロスケールの分析を組み合わせることが、必要不可欠なことなのです。

 

[Ref1] Watanabe, S., Tsuda, Y., Yoshikawa, M. et al., Hayabusa2 Mission Overview, Space Sci Rev (2017) 208: 3. https://doi.org/10.1007/s11214-017-0377-1

はやぶさ2: 小惑星Ryuguの歴史に迫る もくじ

先日、はやぶさ2ミッションおよび搭載機器に関する科学論文が、Space Science Reviews誌に掲載されました。

Space Science Reviews, Volume 208, Issue 1 - Springer, Hayabusa2: Revealing the evolution of C-type asteroid Ryugu

これまでにも、はやぶさ2に関する論文は数多く発表されてきていますが、これほど詳細かつまとまった形で掲載されたのはおそらく初めて。今回は、これらの論文の内容に沿って、はやぶさ2について少しマニアックに紹介していきます。

 

1. はやぶさ2ミッション概要

はやぶさ2 ミッション概要 イントロ

はやぶさ2 ミッション概要 はやぶさ2の目指すサイエンス

2. 光学航法望遠カメラ(ONC-T)の校正試験結果

3. レーザー高度計(LIDAR)の開発

4. レーザー高度計(LIDAR)によるアルベド観測

5. レーザー高度計(LIDAR)のダスト検出モード

6. サンプラー: 小惑星表面物質の採取

7. サンプル捕捉装置と保管コンテナ

8. DCAM3-Dのシステム構成と運用計画

9. 衝突試験観測のための分離カメラDCAM3

10. 小型衝突装置(SCI)

11. 小型衝突装置(SCI)とデジタル分離カメラ(DCAM3-D)の科学的目標

12. DCAM3-Dカメラの近接撮影性能

13. TIRの熱画像撮影性能

14. C型小惑星162173Ryuguの赤外線画像撮影

15. 赤外線画像による小惑星Ryuguの熱特性推定の精度と妥当性

16. NIRS3: 近赤外分光計

17. 小型着陸機MASCOT

18. MASCOT CAM 広角カメラ

19. MASCOT MicrOmega 近赤外分光計

20. MASCOT MARA 輻射計

21. MASCOT MAG 磁力計

 

 

自己紹介 - 進路 -

Astriumでのインターンを始めてから一か月以上たった2012年10月17日、その日はAbteilungsausflugというイベントがあった。Abteilungは部署、Ausflugは遠足なので、要は部署のみんなでお出かけして親交を深めましょうというものだ。イベントのメニューは、郊外にある古城の内部ツアー、そしてその後レストランでお食事というものだった。

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籍を置かせてもらっていた部署は、全体で数十人規模であったが、インターンは数人の上司とのみコミュニケーションをとりながら作業を進めていくという形だったので、その日初めて会話をする方も多くいた。そして、ある人との出会いが、その後の僕の進路を大きく変えることになった。

彼はAstriumの社員でありながら、ドイツ航空宇宙センター(DLR)のプロジェクトのサポートをするという立場だったのだが、そのプロジェクトで、日本人で、宇宙機のハードウェアを扱うことができて、ハードスケジュールなんかにも対応できる、小回りの利く奴を探しているというのだ。そしてもし僕が希望するなら、DLR側に紹介してくれるという。幸運としかいうほかないオファーであった。

もちろん、何もかもいい話ばかりというわけではない。まず、あくまでプロジェクトベースの短期的な雇用しか期待できない。当然、プロジェクトが終わるなり、繁忙期が過ぎるなりすれば、次のポジションは全く保証されない。またもともと、僕はこのインターンが終われば日本に戻り、次年度からはドクターとして研究を続ける予定だったのだが、突然の方針転換となれば、研究室の指導教官には迷惑をかけることになる。海外でしばらく好き勝手やった後また戻ってきたいです、なんてワガママが通るかは怪しいし、仮に受け入れてもらえたとしても、海外就労を有効に生かす方法を見つけなければ、海外にいた時間分だけ遅れを生じさせるだけ、という結果になる。それでも、自分の中での希望ははっきりしていた。

"ドイツの航空宇宙センターで働いてみたい"

結局、書類審査および面接を経てプロジェクトエンジニアとしての短期契約をいただいたのが翌2013年1月初旬。その後は何もかもがジェットコースターのように進んだ。1月末にはインターンのタスクを終え、2月1日に日本に帰国。大学で修士論文をなんとか書き上げ、卒業式にも出席せず、2月14日には再びドイツに飛んだのである。

その日、ブレーメン空港に着いた僕に迎えはなかった。それはきっと進歩なんだろう。僕は、日本から来たインターンというお客さんではなく、プロジェクトエンジニアとして来たのだから。

 

 

自己紹介 - ドイツへ -

2012年9月1日、僕はチューリッヒへ向かう飛行機の中にいた。ドイツの最も南、ボーデン湖のほとりにあるEADS Astrium (現在のエアバス宇宙部門 Airbus Defence and Space)で、半年間のインターンに参加するためだ。初めてのインターン、初めての海外長期滞在、英語でのコミュニケーション、できる限りの準備はしたつもりだったが不安は尽きない。前年同じインターンに参加した先輩から引き継いだ"インターンのしおり"を機内で何度も見直した。

チューリッヒ国際空港では、Astriumからの迎えが待っていた。事前に聞いていたこととはいえ、学生に過ぎない自分に、迎えまでよこしてしまうAstriumのスケールの大きさに少し気後れする。空港から車で約一時間、スイスとドイツの国境を越えボーデン湖南岸にあるKonstanzへ。国境には確かにゲートがあるものの、シェンゲン協定がスイスでも施行されてからは、何のチェックもなく国境を行き来できるようになったそうだ。

ここからはフェリーで対岸の街Meersburgへと渡る。ボーデン湖は霧が出ることも多く、その日も対岸に近づいたころにようやく街の姿が見えてきた。Meersburgはボーデン湖畔の街の中でも特に中世の面影が強く残る街で、ブドウ畑に囲まれたワイナリー、古城、教会、小さな家々と、おとぎ話のような街が見えてきた時の感激は今でも覚えている。

f:id:uchu-engineer:20170716134519j:plainMeersburgの街から見たBodensee

僕が住む予定になっていたのは、Meersburgからほど近い街ImmenstaadにあるFerienwohnung、日本語に訳すならば休暇用アパートといったとこだろうか。ボーデン湖は泳ぐのはもちろん、ボートやヨットを楽しむ場所としてもメジャーで、夏には多くのバカンス客でにぎわうのだが、9月に入ると客足は一気に引き、Ferienwohnungもガラガラになる。そのため、この時期には、Astriumなど周辺にある会社への出張者などが比較的低価格で利用できるようになっている。

Ferienwohnungについたところで、迎えに来てくれたドライバーさんと別れ、インターンでお世話になるスーパーバイザーの秘書さんと合流。そこからは入居手続き、ドイツで初めての食事をして、スーパーで日用品や食品の購入、後日手続きで行く必要のある町役場や銀行それにAstriumの場所を確認。(何もかもサポートしてもらって、ホント至れり尽くせりである。)目まぐるしく街のあちこちをまわり、最後にボーデン湖を見晴らせる船着き場に来た頃にはあたりは真っ暗になっていた。湖は波もなく静かで、対岸の街明かりが淡く光っていた。この時は、まさか何年もドイツに住もうなどとは夢にも思っていなかったけれど、それまでに感じていたどんな不安も忘れて、"ああ、来てよかった"と思えるほどには、心動かされていた。

はじめに

はじめまして。宇宙エンジニア (@uchu_engineer) です。

大学在学中に海外インターンをしたのがきっかけで、2013年から、ドイツ航空宇宙センターでエンジニアをやっています。宇宙機の設計、開発、試験、運用なんかをするお仕事です。最近、海外暮らしや、宇宙にかかわる仕事がどんなものか、というのを発信してみたいと思うようになり、ブログをはじめてみました。

どうぞよろしくお願いします。

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